最近、在宅勤務で作業系の仕事をしているときは、Alexaを使って、Audible『アルケミスト: 夢を旅した少年』を流している。この作品、すでに20代の頃に文庫本で読んだことがあるのだが、その頃は、自分の中で引っ掛かることは特になく、「ふーん」で済んでしまった作品だった。
だが、30代後半になった今。再読の意義がすごく大きい。一つ一つの言葉が、いちいち私の心に刺さってくるのだ。タイトルの、『自分を縛っているのは自分だけだった』という文章もその一つ。
「運命」とは、一般的には「もとから定められている、自分の力では変えられないもの」というイメージが強い。だが、この『アルケミスト: 夢を旅した少年』では、「運命」とは「自分の意志でつかみ取るもの」なのだ、と私に訴えかけてくる。
かつては大きな夢を心の中に抱いていた男性。「お金が貯まったら、実行に移そう」と思っていたが、年を取るにつれ、次第に守るべきものが増え、いつしか夢は、本当に夢で終わってしまった…そんなエピソードは、「この男性は、実は私のことを表しているんではないか?」と読んでいる私の心をチクリと刺してくるのだ。
(それにしても、主人公である羊飼いの少年は、「少年」の段階で、数々の教えを受け入れることができている。すごいよな。私がもし「少女」と呼ばれるくらいの年頃であったなら、この教えを素直に受け入れ、実行に移すなんてことはしなかっただろう。おそらく、「ふんっ、そんなの嘘ばっかり!」って思って邪見にしてしまったと思う。)