♦海外勤務に立ちはだかる、4つの「壁」
Voicyで毎朝聞いている、「荒木博行のbook cafe」今日のテーマは『海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない』というグロービス&高橋亨さんが書かれた書籍についての対談。
本書によると、海外勤務には、4つの「壁」が立ちはだかるのだという。
①発展段階の違いによる「壁」
②ビジネス領域の違いによる「壁」
③組織での役割の違いによる「壁」
④文化の違いによる「壁」
あ~、どれもめちゃくちゃよく分かる…。
その中でも、④文化の違いによる「壁」がフォーカスされちゃう。本当は①~③が原因で行き詰っているかもしれないのに、「それもこれも、文化の違いのせいだ!!!」って言って終わりにしてしまう…というのは、思い当たる節あり。
きっと、日本人が単一民族の島国で育ったからこそ、なんだろうな。今まで、「日本国の、日本人」とビジネスをした経験しかないからこそ、日本のソトに出たら、みーんな異文化のせいでミスコミュニケーションが起こるんだ!って決めつけちゃうのかも、と推測。
♦私も漏れなく、「壁」にぶち当たった
さて、ここからは、私の短い海外生活での経験談をすこし。私は2年間、タイの現地法人で経理マネージャーをした経験がある。そして、上述の①~④の壁、漏れなくすべて経験した。
タイに赴任して最初に感じたのは、『③組織での役割の違いによる「壁」』。この書籍では、「平社員が、海外現地法人に行ったらいきなりマネージャーになった!」という「任される職責の差」から感じる壁なのだろうが、私の場合、まずは日本人駐在員同士で感じる「壁」から始まった。
現地法人にとって、現地のことを知らずに掌握しようとする本社は「敵」のようなもの。当時、管理部門から生まれた初の女性駐在員だった私は、「本社から、誰だかわからない女が来やがった」という目線で見られた。初日の歓迎会で「本社からスパイに来たんでしょ?」というひと言を浴びせられたのを、今でも忘れられない。
異国の地に、家族から離れて単身で来た私、初日からこんなこと言われて、もちろん帰りたくなったのだが、一度来てしまったら成果を残すまで帰るまい、と決意した私。「自分にしかできない仕事」を見つけ、積極的に取り組んで、現地法人の中でも存在感を大きくすることに注力。「現地法人に寄り添ってやっていますよ、みなさんの敵じゃありませんよ」という姿勢が理解されたのか、だんだん受け入れてもらえるようになった。
同じ会社の中にある「本社」と「現地法人」だけれど、実態は全く異なる性質を持っていて、対立関係にある場合も多い。「本社の私」と「現地法人の私」では全く役割が異なる。
現地法人で過ごすこと数年、今度は、多分に「現地寄り」の考えをするようになってしまった。日本に帰国し、再び本社で働くようになってからも、しばらく「現地寄り」の考えが抜けず、バランスが取れていない状態だったのを覚えている。
ここで私がすべきことは、「ベストではなくとも、互いにとって一番win-winとなる案」を考え出すこと。どうやったら、組織全体にとって一番よい選択ができるか?を必死に考えるようになった。
以上が、私が感じた『③組織での役割の違いによる「壁」』。
まとめると、海外勤務は、私に、「異なる視点から物事を観察すること」の大切さを学ばせてくれた気がする。違う立場から見ると、「私」という存在は敵にも味方にもなりうる、ということや、一段高い視座を持ち、組織全体にとってどうなのだ?という切り口から考えることができるようなった。
いやあ、私も成長したなぁ。
この海外勤務経験談、自分にとっての振り返りに非常にいいので、折を見て続編も書きたいと思います。
『海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない』高橋さん2
https://voicy.jp/channel/794/158043